ざっくり簡単解説!陸奥下村藩とは?

陸奥下村藩(むつしもむらはん)は、江戸時代後期に田沼家の支配下で短期間存在した藩です。天明7年(1787年)、幕政から退いた田沼意次の家系が、相良藩(遠江国)から1万石に減封されて陸奥下村(現在の福島県福島市)に移されたことにより立藩されました。この減封は、意次の権力が大きかった時期の反動で、田沼家が多くの領地を失い、規模を縮小することを求められた結果でした。藩の陣屋は信夫郡下村に置かれ、田沼家の当主は江戸詰め(江戸に住み続ける)で幕府の管理下にありました。

田沼家の領主は次々と交代し、意次の孫の田沼意明から意壱、意信、意定と継承されました。幕末を迎えるまで、藩主の交代や領地の維持に苦心したものの、田沼意次時代の名誉を回復するために田沼家を再び相良に戻すことが許されました。5代藩主の田沼意正が1823年に相良へ再移封されることが決まり、これにより下村藩は廃藩となりました。この再移封には、意次が徳川家斉の将軍就任を支援した功績を評価する幕府の意向もあったとされています。

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